密告合戦で残った記録♪
前のレビュアーの方が完璧に解説してくださっているので、書き加える余地がない。内容はそちらをどうぞ。
時期がちょいとずれているのは承知しているが、カタリ派の悲劇を描いた帚木蓬生氏の「聖灰の暗号」とつい比べてしまう。こちらの方を知っていると、あれは読めたものではない。とここに書いても、読者層は多分重ならないだろうから、無駄かもしれない。
私は勉強のために読んだのではないが、純粋に面白かった。ここまでの記録が残ってるってことは村中で密告合戦があったってことで、その辺、宗教が何だろうと人間はどこまでも人間だということがわかる傑作かつ貴重な著作だ。
中世後期の人間ドラマ
14世紀初頭のビレネー山麓に位置する小村モンタイユー。ここで行われた異端審問官ジャック・フルニエによる異端審問記録は、克明に中世後期の農村の暮らしを描写していました。フランス・アナール学派を代表する歴史家ル・ロワ・ラデュリは、この史料を用いてこの時代の研究としてはあり得ない精緻さでもって分析を加えていきます。 人口250人ほどの小村であるモンタイユーでは、「家」こそが価値体系の最上位を占めていたこと。そして年長者から年少者へという一方通行の文化伝達経路を伝って異端であるカタリ派が入り込んでいること。そして彼らの結婚観、人生観、死を迎える瞬間など様々な人生の局面が描き出されていきます。 ここに登場する人々(むろん実在の村人です)もすばらしい個性を放ちます。司祭でありながら異端に染まり、権力の中枢を掌握して村娘と情事を重ねるピエール・クレルグ。彼と長い愛人関係にあり、奔放で波乱の人生を送った元城代夫人ベアトリス・ド・プラニッソル。何より一介の羊飼いであるものの、哲学者と言っても過言でないほど研ぎすまされた人生観、倫理観の持ち主であり、幾度もの裏切りにあいながらその愛すべき生き方を変えようとしなかったピエール・モリ。 権力者たちの陰謀ばかりを追っていると批判されがちな歴史学ですが、本書に描かれているのは一つの村で繰り広げられた生々しい人間ドラマです。500年前の人々の喜怒哀楽まで見えてくるような気がします。訳も秀逸です。歴史を勉強してみようかな、という方は必読の書です。
刀水書房
異端者の群れ―カタリ派とアルビジョア十字軍 ピアソラへのオマージュ 生活の世界歴史〈4〉素顔のローマ人 (河出文庫) 生活の世界歴史〈6〉中世の森の中で (河出文庫) とんぼの本フランス ロマネスクを巡る旅 (とんぼの本)
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